戦場ジャーナリストとは?収入、仕事、拉致保険などわかりやすくシリーズ

イスラム国で後藤さんが殺害されてから「ジャーナリストの仕事とは?」をテーマに関連したニュースが増えました。最近だと、イスラム国へ出国しようとした戦場カメラマンが自己責任論が飛び交う中、なぜ戦場へ向かうのかと責められる事がありました。

いったい何が彼らジャーナリストを突き動かすのでしょうか。今回は、こういったジャーナリストでも、戦場ジャーナリストについてスポットを当ててみました。ジャーナリストについて、知りたかった事が多い方はぜひ読んでみてください。

筆者も、戦場に赴く彼らジャーナリストの仕事ぶりを知れてよかったと今回の記事を作成して思えました。日本人ジャーナリストに限らず、戦地に赴く彼らの現状をまとめています。

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戦場ジャーナリストの仕事とは?

そもそも戦場ジャーナリストについて知らない人もいるかもしれないので書いておきましょう。言葉の通り、戦争地域で起こっている出来事を取材する人の事を戦場ジャーナリストと呼びます。もちろん職業として彼らは取材しています。

また、ジャーナリスト形態も色々あります。それは、世の中の仕組みと同じだと言う事です。正社員のジャーナリストとフリーランスジャーナリストが存在します。「フリー」という言葉は聞いた事がある人も多いのではないでしょうか。特色で分けてみます。

 

正社員ジャーナリスト

正社員と聞くとその名の通りで、大手マスコミといった組織に所属するジャーナリストを指します。中には芸能事務所のように、ジャーナリスト専用事務所なども存在しており会社からの命令によって外国に取材に行く人々の事です。

フリー(ランス)ジャーナリスト

独特のスピーチで話題になった渡部陽一さんなどは、フリーの戦場カメラマンとして活動をされています。会社勤務の方が安定した給料は得られますが、取材許可の判断や、取材地域などに制限がかかりやすい会社員に嫌気がさしてフリーになる人もしばしば。

何かあれば会社が責められるので当然ですが、そういった背景の無いフリーのジャーナリストの方が踏み込んだところまで取材できる傾向はあるそうです。会社や団体に所属しないジャーナリストはこのフリーに入ります

危険地域を取材するために必要となる”意外なモノ”


防弾チョッキ

取材する場所によっては防弾チョッキを付けないと絶対に連れて行ってもらえない場所もあるようです。同行して死なれては困りますからね。

逆に、防弾チョッキを着る事で目立ってしまうので、あえて着用が禁止される事もあります。また逃げる際に重たいと走るのが遅くなる事や、頭を打たれたら終わりであると言う理由も存在しています。

防弾チョッキ着用に関しては、実際のところ現場の空気次第になるようです。

たばこ、小銭、携帯バッテリー

国境を通過する際に、検問所などで通してもらえない事があると取材になりません。そういった際にチップなる物は存在していて、金銭やたばこ、場合によってはバッテリーなど機械のような金目のモノを渡す事で許可が下りる事もしばしばあるといいます。

実際に賄賂コミュニケーションは存在しており、日本の常識とは全く違うとフリージャーナリストの山路徹氏などはテレビで答えています。物で釣る習慣は、発展途上国では多いとのこと。

戦場に出向く前の渡航準備は何をするの?

資金の用意、ビザを取得

国によってはビザが取りにくい地域もあります。現在イスラム国が活動している地域などは、すでにビザシステムが無く、事実上の密入国が多くのジャーナリストによって行われています。危険であるがそれ以外に方法が無いので仕方が無いのかもしれません。

また資金に関してもジャーナリストは非常に工面に困るそうです。取材してくる事をマスコミに伝え、写真や映像などの素材を売ると言うのが彼らの収入。しかし基本的にマスコミは戦場に出向くジャーナリストとの書面契約はしないまさに口約束の世界です。

理由は簡単で、何かあった際に自己責任論に巻き込まれる可能性があるのはジャーナリスト本人だけに止まらないからです。行かせた責任を取らされる事を恐れる為、マスコミ関係者は基本的に口約束で済ませるとの事。場合によっては口約束なので破棄されることもあります。

こういった現状から、自転車操業のようなところが大きいジャーナリストも相当存在するといわれ、いつも資金に余裕が無い状態が蔓延しているそうです。

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戦場ジャーナリストの身代金保険の存在

後藤さんの誘拐事件で話題にあがった身代金保険について解説しておきます。この保険は実際に存在しており、日本では取り扱いが無いだけでアメリカなどでは大手保険会社による紛争地専用保険というものが存在します。

主な身代金保険の適応項目は

誘拐、不法監禁、脅迫行為、ハイジャック

などの事件が挙げられます。これらは事件解決後に、支払ったという事実承認ができれば身代金を保険会社が変わりに支払う制度。金額には上限も存在しており、日本円で約60億円が最高といわれています。

しかし、保険が出るための規約が厳しいと言われています。例えば、戦闘軍の近くには近寄ってはならない、最前線での戦闘地域には近寄ってはいけないなど取材をする場の根底に関わる部分が禁止されていたりするのです。

 

保険に加入するのが大変なケースが多い

ジャーナリストの西谷文和氏は9・11テロ事件の後にアフガニスタンに入っていますが、1日30万円かかるため保険の支払いは出来無かったと言います。1日で30万円すると、10日滞在で300万円。とてもではありませんが支払えません。

日本などの生命保険会社も当然適応されないため困ったとの談。

戦闘が起こる周辺国への入国

戦闘地域へ入国したい場合は、これまた手続きが必要となります。まずは、記者として証明できるプレスカードを入手しなければならない事。これは軍が発行していたりするため現地の人と仲間である事や、人道目的である事を必死にアピールしないといけない場合もあるそうです。

また信頼できるガイドを見つけねばなりません。後藤さんはガイドに騙された可能性も報道に出ていますが、基本的にジャーナリストは現地の人をどこまで信用するかは難しいところ。見た目や、性格を会って少しの日数の間で把握する事は困難と言えます。

出来るだけガイドの家に行って、家族との様子を見るなどして人柄を判断したりするそうですが、滞在日数も限られる中でどこまで彼らの事を知れるかが課題です。

現地での食事や宿泊は?

従軍取材の場合

どこを取材するかによって、食住の生活スタイルはかなり違いが出るようです。

軍などにつかせてもらう取材の場合は、食事は兵士と同じ物を分けてもらう事などができるそうです。ただし宿泊は自前の寝袋が必須。

市街地取材の場合

市街地での取材の場合はレストランなどで食事を取るのが基本です。市街地なので、当然人が行きかうためホテル宿泊は自腹。ホテルが無い場合は、壊された民家や学校などで寝るのです。壊れた施設は窓が無かったり空が見えていたりと非常に寒いそうです。

民間を取材するほうが安全だと思われがちですが、場合によっては従軍の方が安全であるとも言われます。どこが危険かは軍人の方が詳しい事もあるからです

しかし、従軍すると演じる戦いの撮影をさせられる事もあるという。軍は自分たちが間違って無い事を世界に発信したいので、都合の良い場面を撮影しろとも言うことがあると山路徹氏。

イスラム国に捕虜にされたと思われるジャーナリストが、イスラム国の良さを伝えさせられていた映像がありますが、捕虜にされないまでもそういった宣伝のための人材にされかねないケースもあるため難しいです。

コミュニケーションの必要性は、ジャーナリストの共通認識


取材において絶対的に必要なのは、英語を中心とした語学力。基本は英語が堪能である必要があるということです。事前の情報収集に必要なのはもちろんのこと、現地ガイドや他国のジャーナリストとの情報共有なども英語を通していかねばなりません。

また、難民を助けたいという気持ちなど人道目的の意味は伝えないと、ただの金儲けにジャーナリストが来ていると思われる事もあるようです。

どんな時も、笑顔で接して世界平和への気持ちを持ち続ける事が大事です。言葉の壁は、笑顔でぬぐえる(山路徹、西谷文和の両氏談)

無事帰国した場合

もちろん彼らも見学に行っているわけではないのは書いてきた通りです。帰国するとこれから取材内容をアウトプットする作業に取り掛かります。主な帰国後の仕事は下記の通り。

基本は取材したテープなどの素材の売り込み

依頼される講演をしたり、

像編集や執筆活動で本などを出す事も可能。

これらの仕事を終えたのちに、どんどんメディアに進出していきます。話がわかりやすく解説できる人材は、売れっ子ジャーナリストとして報酬が変わってきますので、帰国後も勝負であることには変わりありません。

ジャーナリストの給料や収入 メディア媒体からの報酬はいくら?

基本的なジャーナリストの仕事に対する報酬を掲載しておきます。

 

大手週刊誌であれば、1ページ5万円相場で、マイナー雑誌は2万円以下。

テレビであれば10分映像につき、100~200万円。写真などの素材の提供は50万前後。

 

後藤さんの件によって、ジャーナリストの仕事とはどういった内容なのかという報道が多くなりました。しかし、一部で報道されているような儲かる仕事ではないと言う事は、もうお分かり頂けると思います。

彼らジャーナリストは、仕事として自分たちの給料を稼いでいる事は確かにありますが、目的もしっかりとした人道的な支援をしたいという考えがあっての事だと言えます。

一方的に自己責任!自己責任と狂ったようにジャーナリストを責める風潮がありますが、我々の手元に入ってくる戦場でのニュースは彼らジャーナリストが入手した貴重な取材結果である事も忘れてはいけません

日本人はやらなければいいんだと放棄し、他国もどんどん放棄すればどうなるでしょうか。危険な地域で起こっている惨状は世界に知られないまま悪化していくだけです。彼らジャーナリストの仕事は、非常に勇気のいる仕事だと思います。

 

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イスラム国に関する書籍

池上彰さんが翻訳された本で、非常に内容はわかりやすい物となっております。近所の図書館に問い合わせて貸し出し可能になっているか調べてみるといいでしょう。イスラム国の真相を少しでも知っておく事は大切だと思います。

山路氏は、色々と騒動でウワサになりますが、仕事はきっちりされる方だそうです。池上彰氏と同じく本を出されているので、図書館などでお借りするのもいいかと思います。日本に居る限り情報は何かから知っておく必要性を感じました。

 

 

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