オタクニュース 新世代オタク論 ~物を持たないオタクたち~

 

otta

 

 

 

史上空前のオタク市場

 

 

すっかり現代に浸透している「オタク」という言葉。
一昔前なら引かれてしまうという風潮があったため
オープンになることは少なかったが、今の時代はむしろステータス。
「私は○○オタクです」と自信を持って前面に発言する若者も増えてきた

 

「オタク」で検索するとオタク女子と予測変換も出るようになり
オタクは男性の特権のようなものだったが、女性も進出してきているようだ。

一昔前ではありえなかった、彼らオタクたちの自信に満ちたその表情は
個々の多様性を、尊重できる社会が訪れていること予感させているとも言える。
閉ざされ社会と呼ばれる昨今、こういった習慣は日本を明るくするかもしれない。

 

 

そもそも近年のオタクは何オタクが多いの?

 

 

近代オタクの傾向をチェックしておこう。

昔と変わらぬオタクの王道ジャンルはアンケート結果で健在だと明らかに。

 

スポンサーリンク




 

 

抜粋ではあるが、2013年のアンケート結果から引用。

 

◆20代~40代の日本人男性の過半数が”オタクである”ことを自覚?
SC1. あなたは自分をヲタクだと思いますか。 (事前選別・単数回答)  
自分をヲタクだと思うか聞いたところ、「完全にヲタクだと思う」8.1%、
「ややヲタクだと思う」24.1%、
「どちらかといえばヲタクだと思う」22.1%と、
過半数の54.3%が「ヲタクだと思う」という回答でした。

◆ジャンルの中では、アニメが1位
SC2. あなたはどのジャンルのヲタクですか。 (事前選別・複数回答)  
自分をヲタクだと思う人を対象に、どのジャンルのヲタクなのか聞いたところ、
1位「アニメ」41.5%、2位「漫画」31.5%、3位「ゲーム」28.6%という結果でした。
尚、その他は、「ガンダム」、「パソコン」、「音楽」、「映画」、
「ミリタリー」、「釣り」、「模型」などの回答が多くありました。
(株式会社ハピネット調べ)

 

 

主に20~40代の男性に多いという結果のようだ。
ジャンルも、アニメや漫画、ゲームと言ったオタクの王道を象徴しているものが
上位に来ている。

 

今回はそんなオタクにスポットを当てて
実際のオタクに会って話を聞きながら取材を試みた。

取材協力者は、匿名30歳男性。
個人情報を伏せて、以降はAさんと記載させて頂く。

 

 

ぼく、オタクだけど、物は要らないんです

 

 

hondana

 

こう話すのは、漫画、ゲーム、パソコンなどを中心にオタク活動をするAさんだ。
彼のオタク生活は遡ること小学5年生くらいから始まったという。
買ってきた物で気に入った物は、とにかく収集することに価値を見出したと言う。
部屋の中には漫画本、ゲームが溢れかえる。と言ってもまだ子供なので
自由になるお金は知れているため、増えたとしても少年ジャンプくらい。

しかし、母親からの命令で泣く泣く捨てざるをえなかったという。
中学生になるころには、自分のお小遣いという範囲で漫画を買ってきて
読み終えたら保管するという生活が始まったそうだ。
部屋が狭かったので、とても保管に困ったと語るが、
それがAさんにとっての至福の場を作り上げていた

 

 

高校生の頃になると、週刊ファミ通を愛読書に掲げるようになる。
Aさんはこう言う。
「ぼく、ゲーム好きでしょうがなかったんです。
だけど、高校生でもお小遣いから考えたらそんなにゲームを買えないし。
親もゲームばかりしていたら怒るので、友達の家で(ゲームを)していました。
でも友達の家でゲームして家に帰ったら(ゲームが)無いでしょ?
だから妄想でゲームが出来るようにファミ通を買い始めました
ゲーム画面を見ているだけで幸せでしたし、
何より最新の画像が週刊誌の価格で毎週見られるんです」

 

彼から伝わる熱い思いは筆者も心を打たれた。
ゲームが無い世界=死と言っても過言ではないくらいの世界に生きたのであろう。
彼のオタク生活は止まらなかった。

 

引きこもり生活へ

 

Aさんはその後、体調不良から高校を辞めることとなり
そのまま、引きこもりになった過去も話してくれた
その時の事をこう語っている。

 

「20歳を迎える頃には、ひきこもって生活していましたので
何をするにも部屋がすべてでした。もちろん楽しみなジャンプや、
ファミ通は買うのはやめていません。
漫画本も、雑誌も大量に抱え込んでいたので・・・。宝物みたいなものです」

 

部屋に積み上げられた漫画と雑誌の影響で、Aさんの部屋(2階)の底が
抜け落ちてしまうのではないかと、家族と共に心配していたとも話す。

物への愛着はオタク界では当然とされているが、実際のところは
保管スペースなどの問題で断念せざるをえないともいう
Aさんはその後も無理をして保管の道を選んでいたそうだ。

しかし、その後、画期的なシステムに出逢い運命が変わる。

 

 

レンタルコミック全盛期に現れた「借りオタ」

 

 

漫画本のレンタルが普及し始めてしばらくたつが、
利用された方も多いのではないだろうか?
近所のレンタルショップで借りて読むというスタンス
彼を新世代オタクへと導いたという。

Aさんは引きこもり後に社会復帰を果たし、
働き始める中で物に対する価値を考えるようになったという。

 

ota2

 

 

 

「欲しい漫画って読みたくてもお金が必要だったじゃないですか。
それが今の時代だと、数十円出せば借りて読める時代になって。
何だか、もう古本で買うのも馬鹿らしいなって思ってしまって(笑)

試しにレンタルコミック屋で借りるようになったら、
普通に満足できる自分に気がついてしまって
今まで、購入して所持することに価値を見出していた自分は何だったんだろう
って思うようになったんです。
雑誌はたまに買いますが、漫画は借り読みが増えましたね」

 

レンタル中心後は、保管は止め、すべて売り払ったり捨てたのだそうだ
オタクは何事もドップリな感じだが、
新しい価値観を覚えるとそっちにサッと
移動出来てしまうのも一つの特徴なのかもしれない。

 

今では、Aさんのオタクでの立ち位置は
レンタルコミックオタクというジャンルに存在しているという。
借りオタと言うべきなのだろうか。

 

実際に金銭面、保管スペースの関係でオタク活動が苦しい人は多いらしい。
集めたくても集められない、見たくても見れないというニーズを
上手く惹きつけたのが、レンタルコミックかもしれない。

 

 

 

Aさんは今の現状をこう語る。
「物は所持するのではなくて、
心の中に所持できればいいかなって今は思います。
お金を貯めて、新しい物を買って保管するという従来のオタク思考よりも
借りて安くあげて、次の物に向かうってスタンスもアリかなって。
新世代って言い方も変だけど、所持派と借りる派みたいに
これから分類されていくと思いますよ」

 

車は持たずに必要な時だけレンタルなどという
若者の車離れのニュースを読んだ時と同じような印象を受けた。
物を持てない&持たない人にとって
借りると言う選択肢が追加される時代はすぐそこまで来ているかもしれない。

スポンサーリンク