おすすめ映画ランキング50作◆邦画の達人「え?これ知らないの?」

面白い日本映画50作品ランキング!2015年が終わるまでに観たい邦画コレクション!

レンタルで何を借りようか迷う事ってありますよね?そんな時にツタヤ、ゲオのサイトでお薦めを見るけど知っている作品ばかり。こういう時に役立つのが、面白い映画への感想を述べたレビューサイトだったりします。

そこで、今回は日本映画歴40年のベテランに寄稿をお願いし、邦画名作を50作レビューして頂きました。この方、名作に点数をつけてまとめられているとの事で、幅広い年代の方に薦められている邦画の達人なのです。楽しい作品を厳選してくれましたよ。

ジャンルは青春の恋愛モノ、ホラーやサスペンスもあり、ミステリーなども扱っています。他にはコメディ、犯罪、戦争、アクション、ファンタジー、時代劇など映画ファンも唸るラインナップ。借りるにしても旧作を並べているので、ほぼ無料金額でレンタル可能な夢のランキング

長期休みや、盆正月にする事が無い方はおすすめ映画でもいかがでしょう?

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50位  少年メリケンサック(2009)   [コメディ]

ロックファンだったら、特に笑えるだろう。 佐藤浩市演じるアキオは、パンクバンド“少年メリケンサック”の元リーダーだったが、今は呑んだくれのダメ人間だ。 さらに昔のバンドメンバーを集めるが、これがまた、揃いも揃ってみんなポンコツ化していて笑わせる

そんな彼らをなんとかメジャーデビューさせようと奮闘するディレクター役の宮崎あおいは、普段は清楚な役柄が多いが、この映画ではぶっとんだ一面を見せてくれる。宮崎あおいファンなら見て損はない

お互いヘタクソなくせにギターの取り合いをする大人気ないアキオと、弟ハルオ(木村祐一)がおかしいし情けない。 子供のままの彼らの行動は何ともあきれるくらいかっこ悪い。 しかし彼らのパンク魂が次第によみがえってくる後半では、もう大ファンになってしまうくらい。

オヤジたちの夢があふれた作品だ

49位  桐島、部活やめるってよ(2012)[青春]

高校生達のとある日常を描いた作品。 神木隆之介、東出昌大、橋本愛、などなど若手俳優陣ががんばっている。ゾンビ映画を作りたく部員たちと撮影を開始する映画部部長の前田(神木)。

だが周囲では桐島が部活をやめるという噂が広まり、混乱していくさまを描いた数日間のお話だ。 おもしろいのは、同じ時間の出来事を、人物の視点を変えて何度も見せるという手法を使っていること。 なにげない学校の片隅で実は生徒たちのさまざまな事情が見えてくる。

そのうちに、「あ、何かこんな感じおぼえてる」とか「あんな奴いたな~」と思いながら、スクリーンに引き込まれてしまっている。日常だが非日常でもある。観る人によって全く違う印象を受ける作品かもしれない

48位  冷たい熱帯魚(2011)     [犯罪]

ごく普通に暮らしていた家族が、ひとりの異常な男のために狂わされていく一部始終を描いている。 実際に起きた事件をもとに脚色を加え、一段と凄惨な展開になっているので、ホラー映画はダメという人には向かないかもしれない

まず何と言っても、村田という男の異常さがすごい。特に死体を風呂場で解体していくシーンなど、まるで料理でもするかのように楽しみながら細切れにしてしまうのだ。

さらにその男が巧みな話術で、ごく普通の家族を追い込んでいくところなど、村田役のでんでんの迫力ある演技に脱帽してしまう。園子温監督は独自の演出によって、この作品をむごたらしいだけのものに終わらせず、人間の堕ちてゆくさまを斬新に描き切った

47位  漫才ギャング(2011)     [コメディ]

作品のテーマなど一切気にせず、ただ笑いたい! そんな映画が見たいなら、絶対おススメしたい一本だ。 もちろんストーリーもしっかりしているし、アクションシーンもなかなかの出来栄えだ。 だが何といっても“笑い”に対する貪欲さがすさまじい

留置所でのトイレのシーンをはじめ、品性など意に介さず隙あらばどんどん笑いのネタを突っ込んでくる。 主演の佐藤隆太の漫才は、芸人に転向してもやっていけるのでは、と思わせるほど

宮川大輔はお笑いが本職だけに、演技しているのかコントなのか迷ってしまうほど、笑い、感心させられてしまう。品川ヒロシは監督としてのエネルギーがすごい。 次回作も期待してしまう。

46位  アフタースクール(2008)   [ミステリー]

内田けんじ監督に気持ち良くだまされてしまった。冒頭の学園シーンはこの作品の重要なプロットの一つなのだが、それがわかっていてもだまされてしまう。 まず登場人物が、佐々木蔵之介、堺雅人、大泉洋と、実にクセのある役者が揃っていて想像しただけでわくわくしてしまう。

特に中学校の教師・神野役の大泉洋の存在は、ミステリーながら、コミカルなタッチを加えている本作にぴったりだ。あやしい探偵(蔵之介)、振り回される教師・神野、元同級生木村(堺雅人)の謎の行動。

だんだん明らかになる事実には目からウロコだ。さらに美紀(常盤貴子)に関する冒頭シーンのヒミツ!ラストは気持ちよくハッピーエンドにおわるので、だまされて悔いなしの一本

45位  素晴らしき日曜日(1947)   [恋愛]

黒澤明監督の初期の名作。 戦後間もなくの東京の風景は、まるで当時の記録映画を見ているようだ。 そんな時代の、ユウジとマーちゃんという超貧乏なカップルのある日のデートを描いただけの物語だ

黒澤監督といえば、「七人の侍」や「影武者」などの大作映画を観る方が多いので、肩透かしをくらうかもしれない。 しかしこの作品には「生きる」に通じる、人間を見つめる温かさが溢れている。誰もいない野外音楽堂でのシーンは必見だ

彼女のためにユウジは指揮者に扮し、いないはずのオーケストラに向けタクトを振ろうとするも、心が折れ何度もためらってしまう。そこでマーちゃんがとる行動に、黒澤監督の驚きの演出があり、胸が一杯になってしまう。若い人にもぜひ見てもらいたい。

44位  フラガール(2006)       [ドラマ]

昭和40年、さびれゆく炭鉱町を復活させるため「常磐ハワイアンセンター」を設立するまでの実話の映画化。 松雪泰子演じるフラダンス講師まどかがおもしろい。 実は金が目的でやる気など一切なく、住民ともうまくいかない。

なんとか集められた蒼井優や3人の女性たちにも、上から目線でチームワークなどおかまいなしだ。そんな彼女たちが、ぶつかり合っていくうちに信頼が生まれ、ひとつになっていく様子は好感を持って見られる。

「女って、つえーな」とは劇中の豊川悦司のセリフだが、まさにそのとおり。 みんな男より何倍も力強く、輝いて見えてしまう。 ラストのフラダンスショーでは見事に成長したフラガールたちの演技や、蒼井優の颯爽とした姿に「よくやった!」と、喝采を贈るだろう。

43位  ノロイ(2005)  [ホラー]

いかにもドキュメンタリーといった体裁でこの映画は始まる。 もちろん作り手側の意図はミエミエなのだが。しかも下手をすれば、なんとも盛り上がりに欠けた映画になってしまうだろう。だがこれは充分怖い。話の発端は怪奇作家・小林雅文から送られた一本のビデオテープだ。

その謎を追ううちに、いつしか一つずつ積み上げた、恐怖の連鎖にくぎ付けになってしまう。 現実にいそうなあやしい女「石井潤子」と彼女の周りで起きる怪奇現象。

霊能力者や超能力少女の登場は、さすがにうさんくささがあるが、物語の重要な役割を果たしていておもしろいと思った。展開は遅いが見るものを惹きつけていく前半。後半からラストにかけては、逆にスピーディで衝撃映像をこれでもか!と叩き付けてくる

42位  夕凪の街 桜の国(2007)   [戦争]

重たいテーマなのに、なんと温かみのある映画だろう。 前半は戦後の復興しつつある広島で、皆実(麻生久美子)の背負った「被ばく者」としての哀しい運命を綴っている。 後半、時代は平成へ。

七波(田中麗奈)は近頃、父・旭(堺正章)のあやしい行動が気になり、父を追ううちに伯母・皆実の哀しい過去を知ることに。 田中麗奈の元気印の女の子役がぴったりあっている。 この作品が暗さを感じないのは彼女の存在のおかげかも知れない

そして父と、母・京花の小さな微笑ましいラブストーリーが語られる。押しつけがましさはまったく無い。 声高に平和を叫ぶのも大切だが、こんなやさしい反戦映画を観てほしいと思う。 たしかに昔、この国には原爆が落ちたのだ。

41位  探偵はBARにいる(2011)[サスペンス]

雪のすすきのが舞台の、大人の雰囲気を楽しめる映画だ。 バーを拠点に裏社会の探偵稼業なんて、すごくサスペンスっぽい。だが主役二人のキャラクターがおもしろすぎる。探偵(大泉洋)は、ハードボイルドを気取っているが、無鉄砲な性格のためいつも傷だらけ。

そんな探偵のボディガード兼運転手が高田(松田龍平)だ。 普段はボーっとしているが空手師範代の一面を持ち、探偵を助ける(よく寝るので助けなかったりもする)。

また高田の愛車がとんでもなくボロいので、たびたびピンチに襲われるくだりは気に入ってしまった。 けっこう渋い設定のドラマなのだが、大泉のカッコつけぶりがファンならずとも笑わせられる

40位  おっぱいバレー(2009)  [青春]

もしタイトルだけでこの映画を観ないなら、実にもったいない。本当は“汗と涙”の感動モノなのだから。 しかも、バックに流れる楽曲はピンクレディーや浜田省吾らの懐かしのヒット曲ばかりなので、もうこの年代のオヤジ達も楽しめることうけあいだ。

ある中学校の弱小男子バレー部の5人組は、練習などせず毎日おっぱいの妄想ばかりしている。そこへ顧問として美人女教師がやってきて、なぜか彼らと「一勝できたらおっぱいを見せる」約束をしてしまう

おバカな生徒たちの行動は笑ってしまうが、気持ちはわかる。そしてクライマックスの強豪チームとの対戦では、まさに青春スポ根ドラマさながら、彼らを応援してしまうのだ。先生役の綾瀬はるかが、何といっても可愛すぎる!期待以上の作品だ。

39位  十三人の刺客(2010)[時代劇]

1963年の同名映画を三池崇史監督がリメイクした作品だ。勧善懲悪ものは敵役が悪ければ悪いほどいい。今回の悪玉は松平藩主・斉韶。横暴で残虐非道この上ない性格を映画の序盤でしっかり描いているが、これがびびってしまうほど悪い奴。

演じる稲垣吾郎も、普段の彼とは思えない凶悪な役を熱演している。 彼の新境地がひらけたのでは。その斉韶の討手となるのが、役所広司ほか13人の面々だ。

ちょっと少ないだろ!とつっこみたくなるが、案の定、13人対200人超の決戦シーンでは、敵を倒しつつも、一人また一人と仲間が倒れていく。 「剣が無ければ殴ってでも戦え」の言葉どおり、壮絶な戦いはさすがの迫力だ

38位  K-20 怪人20面相・伝(2008)[アクション]

久しぶりにスカッとするアクション映画を観た。御存じ江戸川乱歩の探偵小説のキャラクター、怪人20面相や名探偵・明智小五郎とその助手・小林少年が、第二次大戦が勃発しなかったためにすっかり歴史が変わってしまった世界で見事に復活した。

主人公・遠藤平吉役の金城武のアクションがすばらしい。自身の運動能力を高めるため特訓するシーンや、20面相との対決シーンなどはこの作品の見せ所だ。物語も二転三転し、常に飽きさせないで見せてくれる

ラストショットで平吉が帝都の闇に飛び込んでいく姿は、あのバットマンを彷彿とさせるほどかっこいいし、お嬢様役の松たかこが、「平吉さま~!」と叫ぶお転婆ぶりも可愛い。 面白さ満点だ。

37位  一命(2011)        [時代劇]

浪人役市川海老蔵の殺気みなぎる演技は凄みがある。 対する家老、役所広司との対面シーンは両者座っているにもかかわらず、今にもそこで剣を交えそうなほど。浪人は武家屋敷の庭を借り切腹を願い出るのだが家老は、浪人にある話をし出す。

家老の話とは、ある若い浪人(瑛太)がやってきて狂言切腹をしたという内容だ。 だがその若い浪人こそじつは海老蔵の娘婿だった。この瑛太の切腹シーンは実にイタイ。何せ刀が竹光なので、なかなか刺さらないのだ。浪人にはもう生きていく意味がなかった。

そして自らの命と引き換えになさねばならないことをしに来たのだった。 天下泰平の世に、武士の面目にのみこだわる家老と、一人の人間の命を尊ぶ浪人。驚きの展開と迫力あふれる映像がすごい

36位  そして父になる(2013)   [ドラマ]

6年間一緒にくらしていた子供が、実の子でなかったとしたら。この映画の良さは、そんな問題を母親よりも父親の視点からとらえているからだと思う。慶多の父、野々宮はいわゆるエリート社員だ。子供は大事に思っているが、エリート意識のせいかしつけにきびしい。

斎木家で育った実の子、琉晴は自由奔放に育てられたので野々宮家にはなかなか馴染めない。このあたりの父役、福山雅治の心の葛藤が自然でいいと思った。血のつながりか、暮らした年月か。

人の子の親であれば、一体どんな結末になるのかと真剣に考えながら観てしまう。 大人のすることが理解できず、でも小さな抵抗をする子供達の気持ちもわかる。 エンディングには納得するが、正しい決断なんて無いのではないだろうか。

野々宮と慶多のふたり並んで歩くラストシーンには誰もが涙するだろう

35位  ゴールデンスランバー(2010)[サスペンス]

平凡に生きている男が、突然、総理大臣暗殺の濡れ衣をきせられ、逃亡の身となってしまう。 伊坂幸太郎原作のサスペンス物の王道といえる話だが、ミステリの要素も満載なので、あれこれ伝えるのは反則だろう。

ワンカットの中の映像や言葉からヒントを探る、といったことが実に楽しい映画だからだ。
あえて言えば、冒頭のエレベーターのシーン。最初はまるで意味不明だが、しっかりエピローグでつながっている。

全編に「仕掛けられた」観客へのトリックが多彩でよく練り上げてあり、観終わったあとであれこれとおしゃべりするのにも最適だ

わけもわからずひたすら逃げまくる主演の堺雅人が、元恋人役の竹内結子やほかの人々との友情や信頼によって切り抜ける展開も、はらはらして次を期待してしまう。文句なく楽しめる作品

34位  スペースバトルシップ・ヤマト(2010)[SF]

松本零士原作アニメの実写映画化作品だ。熱烈なファンも多いだけに、賛否が分かれるのはやむを得ないだろう。原作のキャラやストーリーに対する思いは当然あってしかるべき。だが原作に固執するあまり、映画としての面白味も消してしまうのはどうかと思う。

ヤマト発進シーンや艦隊戦のCGはすばらしい出来だし、キャストにしても木村拓哉をはじめ、変更されたキャラも意外に魅力がある。むしろアナライザーのアイデアには感心したし、ガミラス・イスカンダルについての新解釈も驚いたくらいだ。

作る側の「やる気」がすべての問題を一掃して見事な作品にしてくれた。 ラストのヤマトは、まるで戦艦大和の最後の姿と重なって見えてしまう

 33位  ステキな金縛り(2011)    [コメディ]

三谷幸喜監督の満足度120%の作品だ。 主役を張るのは、“落ち武者幽霊”の更科六兵衛役の西田敏行と、落ちこぼれ弁護士・宝生役の深津絵里だが、豪華な俳優陣もその役柄を生かして徹底的に笑わせてくれる

チョイ役でも唐沢寿明など名優どころがちらほらと出演するなど、見どころも満載。 うれしいのは「ザ・マジックアワー」のキャラクター、村田大樹(佐藤浩市)が出てくるところ。三谷作品はこういうサービスがほんとに楽しいのだ

落ち武者ヘアーの生瀬勝久や、陰陽師の市村正親もひたすらおかしい。そして大いに笑えて、最後は心がほっとするところがありがたい。主題歌の「ワンス・イン・ア・ブルームーン」もとてもいい曲。 深津絵里の唄がチャーミング。

32位  飢餓海峡(1965)       [犯罪]

水上勉の同名小説の映画化。180分を超える大作だけにテレビ画面で見るには多少骨が折れる。ただし映画ファンなら一度は見て損のない作品だ

八重役の左幸子の名演は、この映画でしか見ることのできない迫真の演技だし、犯人である犬飼(三國連太郎)の登場シーンからラストに至るまでの心理描写は見事というほかない

一度渡ったはずの飢餓海峡に最後は又、「連れて行ってくれ」と刑事に懇願する犬飼。仏ヶ浦で刑事が採取していた「灰」に犬飼は何を思ったのだろうか。八重の運命と、導かれるようにそこへと戻る犬飼。ふしぎな定めに、観終わって何度も考えさせられる作品だ。重厚な一作。

31位  藁の楯(2013)  [サスペンス]

少女連続暴行殺人犯・清丸役の藤原竜也がクソ憎たらしくて、実にいい演技だ。 普段は普通の顔をしているが、実は少女偏愛趣味で、突然スイッチが入ると異常者の一面を表す、という役柄を見事にこなしている。

そんな清丸を殺してくれたら、“10億円”という賞金が懸けられたから、これは大変だ。一般人から警察官までが、賞金欲しさに動き出す。その清丸の護送を命じられたのが2人のSPと2人の刑事のチームだ。

特にSP白岩役の松嶋菜々子がかっこいい!拳銃を構えた立ち姿など、主演の大沢たかおもおよばないほど惚れ惚れする。移動手段が護送車から鉄道、さらに乗用車へとどんどん変わり、追い詰められる展開はスリル満点。三池崇史監督の力量がつくりあげた傑作だ。

30位  サマータイムマシン・ブルース(2005)[青春]

タイムマシンが微妙に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のパクリっぽく、やって来た未来人もたかだか25年前のさえない奴、というとこらから笑わせる。マシンを使用する目的も、昨日に行ってエアコンのリモコンをとって来る、と非常にスケールが小さい。

逆にそのスケールの小ささが、現実味を感じさせてくれ、ちょうどいい距離感でもある。夏の日の白昼夢のようでもあり、SF研のおバカ部員たちが巻き起こす騒動は、青春の一ページみたいで微笑ましい。

そして甲本(瑛太)と柴田(上野樹里)に未来人・田村(本多力)を合わせた三人のエピソードが、ちょっと甘酸っぱく、きらきらした作品に仕上がっている。

 29位  雨の町(2006)  [ホラー]

冒頭のシーンは実にショッキングだ。古い民家の中で怯える老人。 雨の中、家に入れてと訴える子供。その子を捕まえる謎の男。この後はとんでもないことになり、思わず凍りついてしまう展開に

さらに内臓の無い子供の死体や、山村の小学校で起こった集団生徒失踪事件などホラー好きなら「これは意外におもしろいぞ」とわくわくする。ただこの作品が単なる“後味の悪いホラー”で終わらないのは、少女役で出ている成海璃子の存在と主人公の関係だろう

彼女が登場するシーンは、どこかファンタジックであり心惹かれてしまう。だが、少女と親の愛を知らない男の、つかの間の心の交流は切ないラストへと向かってしまう。小道具としての「どんぐり」の使い方もうまい。きわめて叙情的なホラー映画が完成した。

28位  下妻物語(2004)        [青春]

中島哲也監督の徹底したこだわりが一本の不思議な映画を作り上げた。 アニメーションを多用したり、映像エフェクトを加えなんともポップな仕上がりに。しかも主人公はロリータ系のお洋服大好き人間・桃子(深田恭子)なので、つぎつぎ変わる深田の衣装にも注目だ。

初めはどんな内容かと思っていたが、子供の頃の環境から人間不信になってしまった桃子が、イチゴと知り合ってから友情に芽生えるという「正統派」青春ストーリーだったりする。

イチゴ役、土屋アンナがまたぴったりで最高。 ギャグっぽい展開はアイデア一杯だし、クライマックスの決闘シーンでの深田のあばれっぷりは滅茶苦茶気持ちがいい

27位  白夜行(2011)         [ミステリー]

ある廃ビルで、質屋の主人が殺された。 被害者のひとり息子亮司。 被害者が通っていた家のひとり娘雪穂。 成長し養女となった雪穂を演じる堀北真希は、美しくもミステリアスな女性役で、この作品のイメージにぴったりだ

執念で事件を追い続けた刑事(船越英一郎)が、やっと事件の真相を掴んでからは一気にクライマックスへ。 刑事は亮司(高良健吾)とふたたび出会い、19年間の思いを叫ぶ。そして亮司がとった結末には、むしろふたりは出会うべきではなかったと思ってしまう

誰も足を踏み入れたくないような環境の地域に生まれ、家庭状況も最悪の少年と少女。悲惨な運命に導かれたふたりに同情を禁じ得ない。最後、亮司に背を向けた雪穂は何を思ったのだろうか。

26位  剱岳 点の記(2009)      [ドラマ]

新田次郎原作の映画化。 圧巻の映像の連続だ。 時間と労力をかけ、ほぼ実際のロケーションで行われた撮影の迫力はすごいの一語に尽きる。 雪山での撮影隊や出演陣の苦労は大変なものだっただろう。

物語は陸軍測量部の威信と、日本山岳会の意地が、剱岳初登頂をめぐり進んでいく。 だが登頂ルートは一向に見つからず、両隊にあせりの色が。 柴崎(浅野忠信)と小島(中村トオル)には、次第におなじものに挑戦する仲間としての意識が湧いてくる。

小島が柴崎に「あなたたちは登ってからが本当の仕事なんですね」という言葉には、相手に対する尊敬の念が感じられるのだ。案内人・長次郎(香川照之)の実直さにも心を洗われる。決して表舞台に出ることのない無名の人々こそが、賞賛に値する。すばらしい人間ドラマだ

25位  笑の大学(2004)        [コメディ]

戦時中、芝居の内容を調査する検閲官(役所広司)と喜劇作家(稲垣吾郎)のおりなす心温まるコメディだ。 この作品の要となるのは、やはり役所広司の演技の幅広さだろう。 普段シリアスな役が多い彼が、実はコメディもしっかりハマるところがすごい

向坂は一途な性格で、このご時世に喜劇など苦々しいとさえ思っている。 そんな向坂に無理難題の注文をつけられていくうち、椿の台本はどんどん面白くなってしまう。

特に「ロミオとジュリエット」を「貫一・お宮」に変えてしまうところは、もう笑いが止まらない!稲垣吾郎の飄々とした椿と、役所広司の頑固一徹さの対比が可笑しすぎる。三谷幸喜の脚本はやはり秀逸。

24位  リング(1998)         [ホラー]

ビデオに焼き付くほどの「怨念」とは、どれほど凄まじいものなのか。 日本のホラー映画の新しい潮流を作った名作だ。 “呪いのビデオ”を見たものは一週間後に死亡する。 鈴木光司の原作もベストセラーだが、この映画の大ヒットは社会現象にまでなった。

頻発する変死事件を追うテレビ局のディレクター浅川(松嶋菜々子)は、あるビデオに関する噂を耳にする。 そのビデオをついに発見した浅川が、興味に駆られ見てしまうところからは、恐怖感がじわじわと伝わり非常に怖い

呪いのビデオの詳細を調べて、だんだんと核心に近づく展開は、謎解きと死のカウントダウンの緊迫感が混ざり合って目が離せない。 「貞子」の存在に行き着いたときから、また恐怖は新たな次元に到達する。

23位  それでもボクはやってない(2007)[犯罪]

無実の罪でタイホされたら、あなたなら最後まで「やってない」と言い続けることができるか? しかもそれが痴漢の容疑だったら?最初から犯罪者扱いされてしまうところが怖い。しかも徹平(加瀬亮)の置かれた立場はすこぶる悪いのだ。

取り調べ官やら検察は何とかこのつまらない事件を一刻も早く片付けたい姿勢が見え見えだし、当番弁護士も「この手の事件は起訴されれば、ほぼ有罪」といって示談を勧める。もうこのあたりで見ている側としては腹が立ってしかたない!

一貫して無実を主張し、裁判にのぞむ徹平。 そして徹平側に有利な証拠が出てきて、無罪かとおもいきや。「やっていない」ことを前提にしたストーリーなのに、無罪を証明するのってこんなに面倒くさいのか、と驚きをおぼえた

社会派の内容だが、テーマの難しさを忘れて最後まで惹きつけられた。

22位  ロボジー(2011)        [コメディ]

すっかりおじいちゃん役のミッキー・カーチス、いや五十嵐信次郎にハマってしまった。 セリフ回しといい、動きといい、この作品の主人公ロボである「ニュー潮風」に感情移入できるのは、彼のおかげであろうと思う

おじいちゃんが着ぐるみショーのオーディションを受けに行ったくだりでの、あの世代の思うロボットのイメージで思わず爆笑させてもらった。

さらに大学生のロボット研究会が、「なぜニュー潮風はすごい動きをするのか」と勝手に自分たちの知識を披露していくあたり、究極のまじめさってやっぱり笑えるんだな、と思った。ラストシーンの五十嵐信次郎の表情の演技には、誰もがほろりとくるにちがいない

21位  北のカナリアたち(2012)      [ドラマ]

人生って、まっすぐに生きようと願っても、どうしようもない時もあると思う。ある出来事によって島の分校を去らねばならなかった、はる先生。その先生に石をぶつけるひとりの教え子。謎めいたプロローグだ。吉永小百合と聞いただけで名作の香りがする。

私は性格が悪いのか、「小百合さんの映画なら3本に一本くらいでいいや」と思ってしまうが、これはぜひ見たいと思っていた。湊かなえ原作らしいし、共演者も魅力的だったからだ。 満島ひかり、小池栄子、勝地涼ほか若手が、大先輩に負けまいといい演技をしている。

さらに舞台となる北国の厳しい冬や、春の美しい風景がこの作品を何倍も引き立てている。 先生と生徒らの楽しい合唱の思い出が、ラストシーンの感動につながる。辛い時、どうしようもない時こそ、その人の力になれる自分でいたいと少し思った。

20位  鍵泥棒のメソッド(2012)      [コメディ]

理屈抜きに面白いシチュエーションコメディだ。自分と他人の人生が突然入れ替わる、という映画では何度も使われているパターンだが、この作品の場合、片方は入れ替わったことを知っていて、もう一方は記憶喪失でそのことを知らない、というのがミソだ

「殺し屋のエリート」という、非現実的な仕事をしている香川照之扮するコンドウが、自分が売れない役者(しかも人間としてもダメダメ)だと思い込み、情けなさを嘆いていく部分が笑える。

さらに金持ちの殺し屋になってしまった堺雅人の方は、環境が変わっても相変わらずのだめっぷりだ。この対比の構図のおもしろさは、似たような他の作品を越えてずば抜けている

内田けんじ監督の手腕によるものだろう。 女性編集長役の広末涼子がコンドウに心惹かれていく展開も面白い

19位  告白(2010)[ミステリー]

好き嫌いが大きく分かれる作品かもしれない。映画全体のイメージとしては暗く、少年犯罪などもテーマとしてあるので、やや重たい。しかしミステリーとしては申し分ないし、中島哲也監督の力量もあってラストまでグイグイ引き込まれる展開はすごい

出演者では、やはり主演の松たか子だろう。わが子を殺され、復讐へとはしる中学教師・森口を熱演している。映画の序盤、クラスの生徒たちを前に、復讐のために仕掛けたワナを告白してゆく彼女の冷酷さ

松たか子本人の持つ、誠実さ・明るさから180度違う役柄はかなり怖い。事件の裏に隠された、犯行の理由や意外なワナ、どんな結末を迎えるのかなど、最後まで目が離せない。

18位  事件(1978)            [犯罪]

冒頭のタイトルバックの映像は大好きだ。 空撮で住宅地から山林までの事件現場をたどり、やがて人だかりの中、真紅のコートで横たわる人の姿をとらえ、タイトルがあらわれる。それだけでもう私はしびれてしまう

ストーリーは法廷での場面を軸に進むが、裁判のやりとりはとてもリアルで事件の過程をなぞる回想シーンを緻密につないでゆく。さらに証言をめぐる検察と弁護側の攻防も含め、法廷物のお手本といっていい

大竹しのぶと松坂慶子の女優バトルも凄みがある。特に大竹は、姉と関係のあることを知りながらも容疑者の男を愛してしまう、という結構な汚れ役を堂々と演じきって、やはりただものではないと思わせてしまう。さすがの名女優、2人に尽きる。

17位  東京難民(2014)          [ドラマ]

これは“現代社会に拡がる転落の構図”をするどく抉った問題作・・・ではない。一人の青年が現実と真っ向から立ち向かうための試練を描いた成長ストーリーだ。修(中村蒼)にとって大学やマンションは、親の仕送りに保障された安全な居場所だ。

知らぬ間に仕送りが途切れそこを追い出されるが、親を恨むだけで生き方はまるで進歩しない。修の甘っちょろい考えや生き方が描かれる中盤のいくつかのエピソード(ネットカフェ暮らしやホストクラブでの生活)は、ドラマ展開が非常によくできていて、見入ってしまう

やがて、人生の底辺まで落ちてはじめて、彼は現実と向き合っていく。 「時枝修として生きていてもいいですか?」とは彼の心に、本当の自我が生まれた瞬間の素晴らしいセリフだ。ラストは誰もが彼に「ガンバレ!」と声援を送るだろう

16位  誰も知らない(2003)       [ドラマ]

実際に起きた事件をモチーフに、丹念に作り上げられた一作だ。柳楽優弥はじめ、兄弟を演じる子役たちの演技が実にすばらしい。本当に自然体で、演技しているとは思えないほど。 これだけでもうこの作品は見る価値があると思う。

社会の片隅でひっそりと生きる若い母親と4人の子供達。だが母親は無責任にも、ある日突然いなくなる。それからは兄弟たちが必死で生きていくようすが克明に描かれていく。子供達のたくましさや無力さ、母親との絆がいじらしくも哀しい。

この作品では、周りの大人達はこの子らに徹底して無関心な態度で描かれている。一人の大人として、自分だったら手をさしのべることが出来ただろうかと考えさせられる

15位  壬生義士伝(2003)         [時代劇]

浅田次郎原作小説の映画化作品。新撰組隊士、吉村貫一郎と斎藤一というまったく生き方の異なる二人を主人公に置いた、文句なく楽しめる時代劇の一本だ。吉村は、人なつこい性格で、妻子に金を送るために武士としての義も曲げる。

対する斎藤は人を斬るのが趣味のような男で粗野な性格だ。 最初、そんな吉村を斎藤は嫌いでならなかったし、斬ってやろうともしたほどだ。この二人がなぜか斎藤の女・ぬいを巡って心を通わせるあたりが人間味を感じさせてほっとさせる。

この映画は明治になってからの年老いた斎藤の回顧形式で描かれていく。 斎藤が存命なのは明白だが、吉村は死んでしまったのか?吉村役中井貴一と斎藤役佐藤浩市の役者としての力量がたっぷりと見ることができた

 14位  アヒルと鴨のコインロッカー(2007) [ミステリー]

伊坂幸太郎の小説がいい、と勧められ映画の方を見た。本が好きな人は原作を読めばいいし、映画好きな人は映画で楽しめばいい。ゆえに私は原作本を読んで見ようとは思わなかった。それくらい素晴らしい出来の映画だと思うし、始まりから終わりまで全く飽きることなく楽しめた

椎名役の濱田岳、河崎役の瑛太、そして松田龍平の好演は見終わってからも深い余韻を残してくれるし、おそらくは映画のほうがディランの名曲「風に吹かれて」が強く印象に残るだろう。

セリフのひとつひとつがこの作品のカギとなる重要な要素なので、初めて見る人は何の知識もない状態でご覧になるといい。もちろんこの、妙なタイトルもそのひとつ。 ぜひミステリーだけに、そこまで深読みしてほしい。

13位  パコと魔法の絵本(2008)     [ファンタジー]

子供向けの映画かな、と思いつつ観始めたがとんでもない。 大人が観てもとても感動できる作品だった。中島哲也監督の特徴ある映像美はこんなファンタジックな物語にぴったりはまる。

内容も、終始笑顔で観ていられるし、CGのガマ王子も楽しいが、ちょっと驚いたのは、出演者の過剰ともいえるそのメーキャップだ。特に主演の大貫役の役所広司などは、ちょっと見誰だかわからないような仕上がりになっている。その大貫が、まあ泣かせてくれる

本当の役者は、顔じゃないよってことを見せつけてくれた。最初は性格の悪いくそじじい大貫だが、パコ(アヤカ・ウィルソン)と出会うことによって一変し、パコのために何かしてやりたい!と思えるようになるところはもう涙がこらえきれない

大貫の「先生、涙ってどうしたら止まるんだ」のせりふはかっこよすぎるだろ

12位  永遠の0(2014)         [戦争]

昭和30年代生まれの私にとって、ゼロ戦はただ憧れの戦闘機だった。輝かしい戦歴を持つ名機だが、最後は「特攻」のための空飛ぶ棺桶になってしまった。

健太郎(三浦春馬)と姉は生き残った戦友達に会ううちに、祖父・久蔵(岡田准一)が「臆病もの」と「名パイロット」の全く違う評価をされていることを知り、不審に思う。それがなぜなのか。次々に明らかになる久蔵の運命に、少しずつ気持ちが変化していく三浦の演技がいい

そして、あの時代に「生きて還る」と願うことの難しさ、どうしようもない戦争の悲劇を岡田准一ほかの俳優陣が熱演してくれる。

戦闘機どうしのドッグファイトのCGはお見事で、この迫力が無ければラストシーンの久蔵と健太郎のワンカットは有りえなかっただろう。とても感動的だった。

11位  雨あがる(2000)          [時代劇]

観終った後にさわやかな印象が残る作品だ。剣劇シーンなどはごくわずかで、ほぼ人物像に重点を置き、俳優陣の演技が生き生きと画面から伝わってくる。三沢役の寺尾聰もいい味を出しているが、一番は何といっても妻・たよを演じる宮崎美子だろう。

常に夫を立て、しかし大事なときにはちゃんと諌めてくれる。 そしていつも笑顔を絶やさない、と男としてみればホント理想の婦人像だ。城からの使者として来た侍ふたりに向かって、言い放った一言はとても痛快。

もう一人、三船史郎も短気だが憎めない殿様役を好演していて、この人抜きにはこの作品は語れないのでは。黒澤明監督の遺作となった脚本を、彼の死後その仲間が集って完成させたという。いい映画にしたい、との思いが見事な作品として結実した。

10位  キサラギ(2007)         [ミステリー]

ビルの一室という固定された空間に登場人物は5人。幕間のない舞台劇を見ているようで面白い設定だ。5人はそれぞれ、全く売れなかったアイドル「如月ミキ」の大ファンだったが、なんとミキは一年前に焼身自殺してしまい、一周忌の日に集まったのだった。

5人はネットの中で知り合ったので、お互いの素性を知らない、というのがミソだ。小栗旬、ユースケ・サンタマリア、香川照之、小出恵介、塚地武雅と個性的な役者5人が繰り広げる展開は二転三転して非常におもしろい

特にオダ・ユージ(ユースケ)が、「ミキちゃんが自殺するような子にみえますか?」と問題発言するあたりからは、いよいよミステリーっぽくなってきて、謎解きがスタートする。こんな結末は予想していなかった!

9位  舟を編む(2013)         [ドラマ]

まるで一冊の小説を読んだかのように“一気に読み終えた”のがこの映画を観た感想だ。 「大渡海」という、広辞苑のような中型辞書が出来るまでの話だが、正直「これ、映画にすると地味だな」と思った。

でも実は、かなり面白かった。十数年もかかる辞書作りを、わずか2時間で見てしまうのだから。 松田龍平演じる主人公の馬蹄(まじめ)君は、まじめすぎる上に人とのコミュニケーションが大の苦手。 他の部署ではお荷物扱いだが、辞書編集部ではその才能が開花する。

先輩の西岡(オダギリ・ジョー)はそんな馬蹄を最初は毛嫌いするが、ともに仕事をするうちに彼を放っておけなくなる。誰もが誰かを必要としている。

協力しあうことで困難にぶつかった時も、乗り越えることがきっとできる。そんな「ダサい」ことを、地味な作品だけに照れずに伝えてくれるのではないか

8位  黄色い涙(2007)         [青春]

今や時代のトップアイドルの5人が揃って出演しているこの作品。昭和38年ころの東京が舞台なのだが、風景や当時の生活のようすがすごくよく出来ていて感心した。実はこの原作となっている永島慎二のマンガは現実の中の残酷さ、というものを描いている。

嵐演じるこの5人の若者たちも、将来の夢や恋愛に対して大きな理想を抱きつつも現実の厳しさを知り、心の中に挫折感を芽生えさせている。5人のうちでもっとも好きなのは、櫻井翔演じる小説家のタマゴだ。

せっかくやる気になって机の前に原稿用紙を並べるが、いつまでたっても一行も筆が進まない。そのうちまた、もとの自堕落な毎日へ戻っていく。「人生は人を欺かない」と屋台でぼやくその姿が、哀しくもかっこいい。嵐と作り手の皆さんに拍手したい。

7位  ガチ☆ボーイ(2008)       [青春]

完璧に裏切られた。 まさかこれほど感動できる映画とは思いもしなかった。私はプロレスがそれほど好きってわけじゃないし、ストーリーもちょっとしたスポ根ものかな、くらいにしか考えていなかった。つまり、油断していたのだ。

だから主人公の五十嵐が抱えている病気が、プロレス(大学のサークルだが)をする上で致命的な問題であり、それをどうやって乗り越えていくのか、そこが気になってからは全く別の映画をみているような感覚に陥った

クライマックスのプロレスシーン、およそ18分の間、五十嵐や仲間、家族などと一体になって応援している自分がいた。気が付くと涙でぐしょぐしょになっていた。五十嵐役の佐藤隆太や泉谷しげる、向井理ほか出演陣の熱演に大拍手だ。

6位  容疑者Xの献身(2008)      [ミステリー]

過去のミステリー映画で、ここまでの感動を受けた作品はない。東野圭吾原作の「ガリレオ」の映画化だが、本作は、元夫を殺してしまった花岡靖子(松雪泰子)と天才数学者・石神(堤真一)を中心に描かれている。

福山雅治ファンは出番が少ないので少しがっかりだろう。だがその分、犯行側の性格付けがじっくりと描かれ、感情移入しやすかったのは大成功だ。自分の人生を棒に振ってまで、他人を助けたいという気持ちはどんなだろう。まして、それが犯罪に加担することだったとしたら。

石神が仕掛けた、靖子らの完璧なアリバイトリック。その謎に挑戦する天才物理学者・湯川。 天才と天才の対決はミステリーとしての見ごたえ十分だ。そして、友を敵にまわしてまで靖子をかばおうとする石神の理由には涙があふれてたまらない。ハンカチを手元において観よう。

5位  蝉しぐれ(2005)         [時代劇]

主人公とヒロインの恋心が、ここまで美しく純粋に描かれている時代劇にはなかなか出会えないと思う。二人の思春期時代のエピソードは文四郎役の石田卓也、ふく役の佐津川愛美のみずみずしい演技も相まって心に焼きついた。

ふくが川で蛇に噛まれたときのこと、祭りに行って花火を見たこと、そして文四郎と二人で力を合わせ坂道で大八車を押すところ。この映画のいちばん美しく感動的なシーンだ。武士とは、なんて不自由な生き方なんだろう

お互いに思いを口にだすことが出来ず、世の流れに翻弄されてそれぞれの人生が離れていくのが切ない。だが文四郎には再びふくとの予期せぬ出会いが待っていた。 四季がめぐりゆく映像美もこの作品に花を添えている。純愛ものと言ってもいいほどの作品だ

4位  キツツキと雨(2012)       [コメディ]

手元に置いて、心が疲れたときにはまた観て見たくなる。そんなあったかい映画だ。
役所広司は何を演じてもうまいけど、やっぱりコメディが一番ハマる。山村で木こりをしている男(役所)と、映画の撮影に訪れた新米監督(小栗旬)。

監督は「ゾンビ映画(B級)」を撮りに来たのだが、自分に自信が持てない。木こりはなぜかその映画に協力するはめになってしまう。笑いどころはいろいろあるが、私はこの映画全体の雰囲気がとても好きだ。

温泉で二人が会話するシーンや将棋を打つシーン、木陰で弁当を食べるシーンなど、「あー、いいなあ」と思ってしまう

一番なのは、監督は木こりにいろいろと世話になっているのだが、さほど恩に感じている風もなく、木こりのほうも自分が楽しんでいるだけ、という空気感だ。そして撮影が終わると二人はまた別々に歩んでいく。

3位  ゴジラ(1954)          [SF]

重量感のある足音が響き、続いて禍々しいあの咆哮、スクリーンに「ゴジラ」のタイトルが立ち上がる。そして、伊福部昭のテーマ曲が流れてくる。もうこれだけで私なんかは鳥肌がたつほど興奮してしまう。世界中に多くのファンを持つ、日本の怪獣王ゴジラの第一作だ

東宝のゴジラシリーズは50年以上の歴史を誇り、ハリウッドでもその資本力で、強力なリメイク版が作られている。しかしこの第一作を越えるほどの衝撃を与えるのは不可能であろう。まさに“破壊神”の名にふさわしい堂々たる風格は唯一無二だ

だが年代を経てあらためてこの作品を見ると、戦後の日本に「水爆怪獣」としてあらわれたゴジラが、新たな人間の新兵器により葬られるというのが悲しくもある

2位  ザ・マジックアワー(2008)    [コメディ]

映画ってやっぱり夢のある世界だなあと思った。売れない役者、村田大樹はいつか大スターになることを夢見て日々スタントやチョイ役で食いつないでいる。

クラブの支配人・備後は、自分の命惜しさにそんな村田をだまし(半分は村田本人の思い込み)伝説の殺し屋・デラ富樫を演じさせる。

現実とは知らず、くさい役作りで富樫を演じる村田だが、なぜかギャングのボス達の信頼を得てしまう。このあたりは三谷監督の脚本もさることながら、村田役の佐藤浩市がおもしろすぎる。大好きになってしまった。

撮影がウソだったことを知った村田は怒って帰ろうとするが、立ち寄った映画館のスクリーンには夢のような映像が。村田が尊敬する高瀬の「おれだってまだマジックアワーを待ち続けているんだよ」のセリフこそこの映画のメッセージなのではないか

三谷幸喜監督は映画の世界に携わるすべての人たちへの愛を贈っていた。もちろん映画ファンのすべての人へも。

1位  おくりびと(2008)        [ドラマ]

主人公の大悟(本木雅弘)はチェロ奏者。オーケストラ解散後、勘違いから葬儀社に就職してしまう。さまざまなカタチの人の死に、否応なく立ち入っていくしかない大悟。

途中、周囲の偏見にさらされ、妻にも出ていかれたりで会社をやめる決意をするが、社長(山崎努)とともに納棺を手伝ううちに、この仕事が意味のあることだと知る。

難しいテーマだが誰もが送る側であり、最後には送られる側なんだ、とあらためて気付かせてくれた。それを思うと今「生きている」ことのすべてが大事に思えてならない。ラスト、大悟に子供の頃に家を出て行ったきりの父の訃報が届く。

最初は行くことを拒む大悟だが、妻にうながされ父のもとへ。 そこで亡き父の本心を知る場面には、声を出して泣いた。ゆったりと画面にひろがる、大悟の弾くチェロの音色が心に沁み入る。

この作品で流す涙は今までに感じたことが無いほど、不思議な感動をおぼえた。めぐり会えたことに感謝したい

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